『 WILLFUL 〜王女とその仲間達〜 』
WILLFUL 1−1
あたしは王女です。
王様の娘なんです。
そう、お父さんの仕事が「王様」なんです。
…なんでお父さんはえらいんだろう?
なんで、その娘のあたしはえらくなくちゃいけないんだろう?
そりゃいずれお父さんの後継ぎとして、女王にならなきゃいけないかもしれないけど…
だからって、毎日勉強ばっかりさせるのはどうかと思うなぁ…
魔法の勉強とか、喋り方とか、礼儀作法とか…
あ〜、そういえば「帝王学」なんてモノもあったっけ?
なんだろ? 帝王学って……
よくわかんないや。
―――あたしには関係無いもん。
「王女様、今日の予定ですが……」
薄いノートらしき物をめくりながら、侍女は予定をズラズラと喋っていく。
ほとんどが、「〇〇の勉強」や「□□の作法」といったばかりの内容だったが…
「…以上ですって……聞いていましたか? 王女様?」
予定を言い終えた侍女は、ベッドに突っ伏している少女……王女、シランに声をかける。
「うんうん、聞いてるよ〜。もうわかったってば〜…」
マクラに顔を埋もれさせたまま、シランは面倒くさそうに答えた。
そんな王女の様子を呆れつつ、諦めつつ、侍女は大きなため息を吐きながら、
「とにかく、昨日の魔法の授業みたいな事はしないでくださいね?」
―間―
「……………努力はするつもり……」
「なんですか?今の間は……」
言いつつ、また侍女は大きなため息を吐いた。
「ほんとにやめてくださいよ?授業を脱走するなんて…あなた様のためにならないですよ?」
顔を伏せたままのシランは何も言わない。
侍女はまた大きく息を吐いて、「では…」と一言残して、部屋を出て行った。
「もっちろん……授業を脱走するなんてこと、しないよ♪」
シランは顔を上げ、ベッドの近くにある窓を開け放ち、外を眺めた。
「……あなた様のため、かぁ」
ベッドから降りて、大きく空気を吸い込み、伸びをする。
うつ伏せに寝ていたせいか、背骨が小さく鳴った。
「……あたしには関係無いもん」
次の瞬間、シランは開けた窓から、外に身を躍らせた。
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