『 WILLFUL 〜王女とその仲間達〜

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  WILLFUL 1−2  


「シランが脱走?」
「そ〜らしいよ。なんでも朝の予定を伝えた時にはいたらしいんだけどね」
朝の兵士達の休憩所。
けっこう数のいる兵士や魔術師達の中でもひときわ目を引く銀髪の青年が二人、会話をしていた。
イスに座り、向かい合っている二人はうりふたつの顔立ちをしている。
双子であろうその二人には、決定的な違いがあった。
目の色と、雰囲気。
片方の青年は流れるような銀髪に映える赤色の目に、砕けたような、軽いような…そんな雰囲気がある。
髪の毛はうなじで縛っているだけ。
その逆にもう一人は、銀髪までは同じなのだがその雰囲気と目の色が、明らかに対照的な青年だ。
青色の目、そして「冷静沈着」―この言葉がぴったりくる雰囲気をかもしだしている。
銀の髪は、装飾の施された金色の小さいリングでポニーテールに縛ってある。
人目を引く容姿を持つ二人。
話題にのぼっているのは『王女脱走』。
「しっかし……シランはいい加減にやめる気ないのかなぁ。このままじゃいずれ、大臣達がキレるのも時間の問題じゃないかな?」
「そうかもしれんな。まぁ、アイツがそんな事でやめるとも思えないが……」
「確かに、ね」
二人がそんな話をしていると――
「ブルーさん! ルージュさん!」
会話を中断させたのは、二人よりも若い…いや、幼い少年兵士の呼び声だった。
「なんだ? 何か用か?」
「用があるから呼んだんでしょうが。で、一体なに?」
入り口に立っていた少年兵は、少しだけビクっと身体をはねらせ「ハイ」と返事をして、こう答えた。
「あ、あの左大臣のご指令で…」
「シランを探せ、だろう?」
「あ、はい……その通りです」
少年兵は少しオドオドしながら答えた。
「あはは〜。ま、当然っちゃあ当然だね。僕ら一応彼女の護衛だし」
「あいつ……出てくなら俺達に言え、と散々言ったんだが…」
「まぁまぁ、いいじゃない? しかたないでしょ、ブルー」
ブルーと呼ばれた青年は、端整な顔立ちをわずかにしかめて、ため息混じりにイスから立ち上がった。
「……行くぞ。ルージュ」
「おっけぃ♪ レッツゴー!」
ルージュと声をかけられた方も、立ち上がってブルーの後についていった。
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