『 WILLFUL 〜王女とその仲間達〜

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  WILLFUL 1−8  


「ディープフリーズ!!」
戦闘の火ぶたを切ったのはルージュの魔法。
辺りの空気が一気に凍りつき、モンスターを瞬時に氷付けにする。
「んでもって、ブレイク」
パチン、と指を鳴らすと中のモンスターごと氷が砕け散る。
「チョロイもんさね」
「バ〜カ、まだ終ってないよ」
ティミラが迫ってきたモンスターを殴り飛ばしながら、ルージュに言う。
「分かってるよ。それにしても少し数が多い感じがしない? シラン、よく逃げれたねぇ」
「変だなぁ、あたしを追いかけてきたのは2,3匹だったはずなのに……」
シランは頭をポリポリかきながら、顔をしかめた。
「そんなこと言っていられないんじゃないか?」
「だったら戦う意志ぐらい示したらどうなんだよ? ブルー」
腕組みしたまま動く気配ゼロの彼に、ティミラは呆れた目線を向る。
「……俺が出るまでもないだろ」
言ってブルーは一歩下がる。
「お前なぁ……」
ため息吐きつつ、ティミラは相変わらず襲ってくるモンスターを一撃で倒す。
モンスターは鈍い悲鳴を上げながら、消えてゆく。
「おねぇちゃん……」
戦闘を行っているティミラ達の後ろで、ラズ達は心配そうにシランを見上げる。
そんな彼らに、シランはいつもと変わらない笑顔で、
「だいじょぶだよ、心配しないで。すぐ終るから」
言って、ティミラを指差す。
一人で順に攻撃してくるモンスターを、余裕で倒している。
その数はあきらかに減っている。
「……それにしても、ほんとに数が多いなぁ」
シランは首をかしげる。
「おそらく仲間を呼んだのだろうな」
「だろうね〜。こんなザコで済めばいいんだけどさ」
「うっしゃ! 全部倒してきたぞ。まったく、女に労働させんのか?」
ティミラは首を回しながら、かったるそうに歩いてくる。

――なるほど。

彼女の言う通り、モンスターがモノの見事にいなくなっている。
「ザコはとりあえず片付けたけどさ。これで済むのか?」
ティミラはルージュに目をやる。
魔術師なだけに、色々な知識を持つルージュに答えを求める。
「さぁ、済めばいいんだけどね。済まなければ……」

――ガサッ……

「な、何!? 今、向こうでなんか音がしたよ!?」
子供の一人が、ティミラの背後に見える森を指差す。
その言葉に他の子供も慌てだす。
「済まなければ……?」
ブルーは剣に手をかけて、前に出る。
その隣には、指を鳴らしながらティミラが並ぶ。
「まぁ、親玉登場ってのがスジだろ?」
「じゃあ、ボスってこと?」
「そうなるね〜」

――ガサガサ……

「わぁぁん!! おねぇちゃん!!!」
「だいじょぶだってば。ラズ達はぜったいに守るから」
シランは、やはり微笑んで子供達に言い聞かせる。
「でも…でも!!!」
「守るから」
まだ半泣きの子供を、じっと見つめて言う。
「………おねぇちゃん」
ラズが小さく声を出す。
その声は震えている。
シランは三度微笑んで、立ち上がる。
「ルージュ、子供達を守ってね」
「まっかせてよ〜!」
シランは剣を抜いてブルーとティミラと共に並ぶ。

――ガアアァァァ!!!!

咆哮が響き、姿を見せたのは2匹の大型の狼のようなモンスター。
牙を剥き出しにし、その目にはあきらかな殺意がこもっている。

「……よし、いっちょ頑張りますか!!」
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